●雑記●

2003年7月6日
短編だけど、彼等の小説が書けた。
死んだ子供の成長日記を書きつづける母親のような鬱な気持ちになって以来、パタリと筆が止まっていた。
二次創作者の運命だと言われればそれまでだが、例え偽物でも幻想でも、そこに投影される真摯な愛と孤独がある限り、その幻は現実をも凌ぐ。

現実世界の、ほとんどの人間が選択している人生、
『就職して結婚して子供を育てて35年ローンで家かマンション買って働いて働いて老いて病院で死ぬ』
これが、幻想でなくてなんだと言うのだ。
ただ、これが私の幸福ではないだけだ。

だから、私は幻想から逃避する為に現実で生きている。
どちらの人生を選んでも辛いなら、返り血に濡れ狂気の淵に落ちようと、私は幻を信じる。
最期まで誇り高いエゴイストでいたい。

朽ちる眠り

2003年6月15日

いま、突然に気が付いた
自分が骨格で立ち尽くしていた事に

両耳の裏側から、風がシゥ…と鳴る

足の裏の面積だけが支える垂直となった意志の形
これだけだ
肉の内部で心など見た事が無い
感覚を殺して作った言葉だけが在る
その糸で心の模型を紡いでいるだけだ
だから立ち尽して朽ちていける

風が吹き上げていく
巻き込んで抱きしめて捉えられる言葉の糸
下から上から、そして奥深くから沸き起こって来る風
糸を吹き抜けていく細い音楽

空から見た風景の記憶も、確かに在るはずなのに
風が吹く度に薄れてしまう
髪を梳き、指を絡める風の糸、四肢さえも虚ろだったのか
もう糸は切れた
ただ直滑降で空を横切り失墜していく

何か花を見かけたらしい
きっと、これが最後の記憶

なにも、それでも。

2003年4月11日
無と言うか、空白とでもしか言いようのない瞬間がある

吸い込まれて行く恐怖の一瞬が

誰にだって必ずある


死んだつもりで生き抜いていくのは良いが
生きているつもりで死んでしまってはいけない

約束だけで命を繋いで、繋いでいる人が
自分の手を、自分で握り締めるしかない人が
例え自身の虚無を悟ってしまったとしても
繋いだその手を離してはいけない

生命は約束などではない
幸福は世界が思い通りになる事ではない

なにひとつ
それでもひとつ

つきのひかり

2003年2月15日
帰宅で電車のラッシュが始まって
朝よりは気の抜けた混雑の中
スポーツ新聞と缶チューハイのおやじ
くたびれたストールを巻いた不機嫌そうなOL
友達の友達の話題で「ちょーちょー」さえずる女子学生

これから帰るんだ

私の部屋では
薄闇の中で林檎が香ってる
ラベンダーのカーテンにアルミサッシの影を刻んで
月は白くプリーツを寄せて眠っているだろう

でも、これから帰るんだ

濁って疲れた目の大勢のスーツ姿から
コートを巻き込んで瞼を閉じる大勢のスカート姿まで
弾むような音楽が胸元から背中から湧き出して
引きずる靴の流れに乗って流れている

知ってる
これはドビュッシーの「つきのひかり」

見渡す限り知らない人の肩の周りで
それぞれのピアノの雫が零れて溢れる

きっと私の音は林檎の匂いがする

つきのひかりを押し込んで
いま郊外行きの電車が走り出した

それでも

2003年1月10日
もうやだもうやだもうやだ

こんな事ばかり繰り返して


もうなにもかけないよ


ごめんね

2002年12月26日
何か書いてあげたかった。
もう、大丈夫だよ、苦しくないよって言ってあげたかった。
でも、あと1日しかない。
しかも、いま導眠剤飲んじゃったし。
出遭ってから先が、浮かばないよ。
前に動けない
前に動いて行けない

ああ、本当に愛していたんだ(驚)

てのひらのかみさま

2002年12月22日
一度森の中に入ってしまえばいい

一度座り込んでしまえばいい

黒灰色の夜は、粘るよな氷雨

脛の骨から冷えて来て、枯葉にもぐれば

湿った土の粒と匂いが喉の奥に満ちる

約束だけで生きる時間を騙してきたけれど

それさえも辛い

かみさま、どこにいらっしゃいますか

かみさま、なにをごらんですか

かみさま、私に死ぬなと仰せになれますか

ここでは逢えない

無力な可哀想な、私のかみさま

もう自由だから、そう言ってあげたいのに

いつのまにか瞼を開けていられない

手も握り締めてはいられない

星の形の水蒸気が散って行く

てのひらだけは、ああ

まだ暖かかったのにねえ

雑記

2002年12月7日
あのアホから荷物が届いた
誕生日の1週間前だとよ!
さすがに嫌がらせの天才なだけはあるよ
封なんか開けられる訳ないだろうが
名前確認した途端、吐いたもんな
速攻で鬱の症状が振り返してんだよ
もう自分の洗濯物も畳めない状態だよ
会社行くだけで半死半生だよ
遂にこの前、土日合わせて5日間、一歩も外に出られなかった
これ以上、薬を増やしたくないんだよ

現在の投薬
ノリトレン
デパス
マイスリー
アロフト
テグレトール

パキシルあたり、また出そうだ…

●雑記●

2002年10月23日
いままでの人生を考えてみても、私をギリギリの処で支えてくれていたのは、いつも彼だった。
辛くて辛くて無感動になって無感覚になって、最後には重い霧だけが心の中に淀んでいるような、何の躊躇いも無く包丁で手首を叩き切れるような、そんな状態の私を、励まし、怒り、一緒にいてくれていたのは、彼だけだった。
轟音立てて通過して行く、NEXの引き込み風に巻き込まれないで済んだのも、彼が泣いて引き止めてくれたからだ。
彼女かも知れないけど(笑)。
幻影の無二の友人、恋人、片方の私。
私が死ねば、文字通り何ひとつ痕跡も残さず消滅する存在。
もちろん、彼もそれは知っている。
また、あのクリスマスの電飾を一緒に見よう。
「自分に魂があるとしたら、きっとあんな、ただのキラキラとした光に過ぎないんだよ」
そう彼が呟いた雨の大通りを、私は一生忘れない。
私は精神異常なのかも知れないが、異常に救われる精神だって、きっとある。

おやすみなさい

2002年10月15日
心の中の闇でありますように

闇の中の光でありますように

光の中の緑でありますように

緑の中の花でありますように

花の中の掌でありますように

掌の中の指でありますように

指の中の空でありますように

空の中の命でありますように

そして命の中の

続く明日の為の

安らぎの闇でありますように

●雑記●

2002年10月12日
見つかっちゃった1号様、ありがとうございます。
いや、あっちこっちに点在していた詩の倉庫として、目立たないようにやっていこうと思っていたもので(^_^;)
別に人に見せるための日記じゃないのですけど、どう言う経路でやって来て下さったのか、想像すると少し胸があったかくなります。
ありがとうございます、海原恵さま。
ウィンター・テイルズ(マーク・ヘルプリン)
銀色の恋人(タニス・リー)
はてしないものがたり(ミヒャエル・エンデ)
指輪物語(トールキン)

5冊目が、まだ決まらない(笑)。
ミザリーか、ウィスパーズだったりして。
S・キングも、ディーン・R・クーンツもあれだけにしときゃ良かったのに。
パトリシア・コーンウェルの女検死長シリーズも、初めは馬鹿にしつつ読んでいたが、愛人で相方の警部を惨殺しやがった処でまいりました。
日本の作家なら、絶対にできねえ!
御手洗の相方の石岡を死なすような事が、作家に出来るか?

日本作家?……高村薫か藤原伊織かなあ(^-^;

●雑記●

2002年9月29日
はーはーはー
やっと、少しは以前の詩が集まったかな。
…季節感まったくない配列になっちゃったけど。

今夜は、いきなり『自分を包丁で刺したい発作』が出て困った(笑)。
手首なんかじゃないっす。
あばらの隙間に刃が吸い込まれそうで焦ったよ。
いや、もう笑うしかない。
だって、いちいち全部を描写してしまうんだもの。
こんなギリギリの人間だから、正気を失う酒だの煙草だのドラッグなど怖くてできん。
睡眠導入剤と軽い鬱の薬だけでも、もうたくさんだ。
死にたいとか喚いていて楽になれるのなら、まだいいよな。
ニコニコ朗らかに笑いながらNEXに飛び込むタイプなので、物凄くイヤ(笑)。

冬の星の光の

2002年9月28日
振り仰ぐ
仄かに明るい夜空

白く光る星
ひとつ
またたかぬ強い光で
凛と

直線の力で指差してくる
この瞳孔の闇ふたつ

遮る瞼の
薄さを恥じる

不思議

2002年9月27日
食べない事と飲まない事で
死んでしまうのは解かるけれど

眠れない事で
何が死んでしまうのかが解からない

水が多すぎても
塩が多すぎても海は死ぬの
眠りもしないのに

息苦しそうに咲き詰めた
卑猥なピンクのサツキの花を
千切り散らして
冷たく湿った夜明けが来る

薄青い目覚めの前の深い波
東の空から追いやられて
今年最後の春が北へ流れていく

次は逢える?

眠そうに
そう言い残して消えていく

嵐の前夜

2002年9月26日
風疾る
夜空へ清々と腕振れば

右手に星
失われた天の河流れ

左手に雲
紗を掛けて月を覆い

人の都市を隠す
駆け上がる気流の道筋に
朧気な襞を寄せる

ここで雨が生まれる
静かに静かに話して

蕾が瞬くから

雨の化石

2002年9月25日
雨に肌を千々に刺されつつ
ベランダで稲光を眺めている

頬も鎖骨も 水の膜に覆われ流されて覆われ
くるぶしから滴り流れて

豪雨を満たした薄墨と鉛の雲に 疾る光
閃いて輝いて 眼底を焼く光
この身には 灼かれるしかない光

蛾の無知も ひとの叡智も持たぬまま
遠くで佇んでいる

皮膚一枚の下 身体の中の水たちも
雨の温度になって 巡り戻れ心臓から
のろのろと閉じた瞼の裏は 光で時折赤く明滅する

爪を立てても無感覚な指先は
もう水の温度
指の中には何が流れているのだろう

育んでも壊しても
化石からは何も孵らない

肉も心も
遥かで佇んでいる

眠りの明日

2002年9月24日
もういいや、と思う事と
まだいいや、と思う事で
今日への均衡が
震えながら繋がって行く

身の内から
いつまでも立ち昇ってくる泡
それも、どこか深海からだとは判っているのだけれど
私の何故なのかが怖い

眠れない癖に
眠りに焦がれているのは
意識の奥の底
青に澄みきれない水の淵から
モールス信号が届く
ぷつぷつと言う呟きの煩さ

明日の来る痛み

言葉だけは

2002年9月23日
空気のあるところ
ここで
響いていく波動
知っている
鼓膜で
唇の動きで
重なり合う舌のうねりで

わかりあえない
わかりあえないと

海は、未だ抱いている
空は、未だ包んでいる

深夜に響く
ピアノの一音
私の言葉だけ

ちょうど

2002年9月12日
…ああ、こんな速度だった…

思い出して、次の歩を踏んだら
感じた瞬間には判らなくなっている
この欠落は初めてではない…
雑踏の商店街で立ち止まった
夜浅い時間の匂い

なんの速さだったのか
あるはずの記憶なのかも定かではなく
残像すら掴みそこねて

だが、確かに
途方に暮れる指の間を風がくぐっていく
ちょうど、こんな速度で
遮断機が降り始める…

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