春の痕

2002年9月9日
書類の文字にまばたいて
握り締めていたボールペンを置く動作
繰り返し
下界から吹き上げられていく
桜の花びらたちの白いドットを見送っている

どぅん…とビルの窓ガラスが鳴いた

点の水平線を覗かせる
向うの海では、きっと
透明な稚魚たちが光ってる
斜めの断線が揺れながら

いま横切った直滑降のクロアゲハは
向うの夕陽を見に行くのだ

今日、一番初めの春が終わる

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