雨の化石
2002年9月25日雨に肌を千々に刺されつつ
ベランダで稲光を眺めている
頬も鎖骨も 水の膜に覆われ流されて覆われ
くるぶしから滴り流れて
豪雨を満たした薄墨と鉛の雲に 疾る光
閃いて輝いて 眼底を焼く光
この身には 灼かれるしかない光
蛾の無知も ひとの叡智も持たぬまま
遠くで佇んでいる
皮膚一枚の下 身体の中の水たちも
雨の温度になって 巡り戻れ心臓から
のろのろと閉じた瞼の裏は 光で時折赤く明滅する
爪を立てても無感覚な指先は
もう水の温度
指の中には何が流れているのだろう
育んでも壊しても
化石からは何も孵らない
肉も心も
遥かで佇んでいる
ベランダで稲光を眺めている
頬も鎖骨も 水の膜に覆われ流されて覆われ
くるぶしから滴り流れて
豪雨を満たした薄墨と鉛の雲に 疾る光
閃いて輝いて 眼底を焼く光
この身には 灼かれるしかない光
蛾の無知も ひとの叡智も持たぬまま
遠くで佇んでいる
皮膚一枚の下 身体の中の水たちも
雨の温度になって 巡り戻れ心臓から
のろのろと閉じた瞼の裏は 光で時折赤く明滅する
爪を立てても無感覚な指先は
もう水の温度
指の中には何が流れているのだろう
育んでも壊しても
化石からは何も孵らない
肉も心も
遥かで佇んでいる
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